年明け早々、能登を襲った地震は、大変な被害が出ているようです。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、
ご遺族、被災された方々の心中をお察しいたします。
不安な日々が続き、寒さもこたえることと思います・・
2016年の熊本地震の際は、私も被災しました。
子どもたちは2人とも小学生。
家(借家でしたが)は半壊→その後取り壊しとなりました。
インフラはすべて止まりましたが、避難所へは行かず、
1週間ほどの車中泊と、その後2週間ほど、庭でテント暮らし。
余震がひどくて恐ろしくて家に入れなかったのと、
天井が落ちてきて雨漏りがひどかったのです。
(気候が良い時期でしたので、テント暮らしは意外と楽しかった)
発災2~3日後でしたか、
震源地にある民間の施設が大きな避難所となっており、その管理者からの依頼で、
食料品の配給と、これからの避難所の食事について相談を受ける機会がありました。
すぐにその施設に向かいましたが、想像以上の混乱ぶり。
(私の仕事が再開したたため、行政の栄養士団体に託しましたが、
それは失敗で、今でも心残りです)
避難所の方々の「温かいものが食べたい」という声を受け、
半年ほど、仕事の休みを利用してお味噌汁を配るボランティアをしていました。
(その件は後述します)
その経験をもとに、被災地、避難所での食と栄養について大事なことをまとめました。
とはいえ、被災の状況によって、できることってずいぶん違うんですよね。
インフラ(水道、ガス、電気)が通っているかでも違いますし。
ですので、発災直後の混乱期は防災の専門家の方に託すとして、
2~3週間たち、インフラもある程度落ち着き、
長引く避難生活の際の食と栄養、という視点で書きます。
最低限備蓄しておきたい食糧
と、その前に、災害に備えて、最低限備蓄しておきたい食料品について。
1週間分の備蓄があれば安心、と言われますが、
家族全員の1週間の食事を備蓄しておくのは、場所を取りすぎて大変ですよね。
期限切れになる前に食べなくてはいけないのも、大変。
(そう美味しいものではないですし・・・)
とりあえず3日分!
水と何らかの食糧があれば、生き延びることはできるので、
そのくらいは家に置いておきたいものです。
一軒家の場合は、家がつぶれる可能性もあるので、
家の端っこ、2階がない部分、取り出しやすい倉庫や車庫などにでも。
あと、どうしても温かいものが食べたくなるんですよ。
お湯が沸かせるカセットコンロ&ボンベは必須です!
そして、備蓄品ってどうしてもカサカサしたものや味が濃いものが多いので、
汁ものが欲しくなるのです。
カップみそ汁やカップスープ。絶対にあった方が良い。
アルファ化米は水を注ぐだけで食べられますが、
電気が通ったら、チンできるパックごはんの方が美味しいです。
それに、紙コップや紙皿、ラップ、割り箸など。水がないと洗えないですからね。
(ちなみに、果物の缶詰もすごく人気でした。デザートがあるとめちゃ嬉しくなります)
パンやスナック菓子などは、近所の方がおすそ分けしてくださいました。
比較的高齢の方が多かったのですが、
普段どんだけこういうの食べてるの?!と思うくらい(笑)
水道、ガスより電気が先に通ることが多いと思うのですが、
電気が通ったら、冷凍食品も結構いただきましたので、チンして食べられました。
なぜかスパゲティやピザ系が多かった・・・
やはりどうしても、炭水化物だらけになるんです。
猛烈に肉や魚が食べたくなります(笑)
私は、野菜不足よりも、肉魚が食べたかった・・・タンパク質!
肉や魚の缶詰があると良いと思います。
1週間くらいまでは混乱期で、避難所で配られる食糧は少ないです。
3日分というのは、それは覚悟のうえで・・・
避難所の食生活の実態
最初の数日間は、野菜ジュースとパン、
野菜ジュースとおにぎり、
の組み合わせが多いかと。
そのうち、周りのインフラが整ってくると、お弁当が出だすようになります。
それから長いこと、朝は野菜ジュースとパン、というところは多かったです。
野菜ジュースへの信仰はすごい(笑)
非常時には仕方ないことですが、、、
そのうち、昼、夜は、
炊き出しが始まったり、キッチンカーが来たり、支援が手厚くなってきます。
そして、公的支援ですごく重要視されるのが、
「みんな平等」
これ、良い面、悪い面ありまして、
初期は、そこの避難所全員分同じものがないと配られず、
余って賞味期限が来て廃棄処分されたり、
というものを、すごくたくさん見ました。
基本は、
朝:野菜ジュースとパンorおにぎり
昼:お弁当
夜:お弁当
が続きます。
長引く避難生活で不足する栄養は?!
ずばり、ミネラルです。
その中でも、マグネシウム、亜鉛。
基本的にお弁当が続くわけですが、
市販のお弁当って、致命的にミネラルが足りていないんです。
これは、私も今までいろんな媒体でお伝えしてきましたが、
「新型栄養失調」などを読んでいただくと、よくわかります。
手作り風お弁当をはじめ、
レトルト食品、冷凍食品、お惣菜、インスタント、ジャンクフード、
ファミレス、チェーン店のごはん・・・
本当に、栄養入ってないんですよ。
(入ってるように見えて栄養が入っていない理由は
長くなるのでまた別の機会に)
この場合の栄養って、ミネラルやビタミンのこと。
炭水化物、脂質だけは、結構とれます。
=カロリーだけはとれるけど、
それを実際に体を動かすエネルギーに変換してくれる、
ビタミンやミネラルが圧倒的に足りない。
だから、太るくらいカロリーはとれていても、
エネルギーとして使えないから疲れやすくなるし、
頭は働かないし、冷えるし、
続けば様々な病気を引き起こします。
避難所生活だけでなく、現代人みんなに当てはまるんですけどね。。。
基本的に、家で素材から作らない食べ物って、
あまり栄養は期待できない、と思って良いです。
加工の途中で栄養がどんどん抜けてしまうから。
(本当に素材から手作りのお店は除く)
そして、食品添加物絶対反対~!というわけではないけれど、
添加物のリン酸塩などは、せっかく摂ったミネラルを排泄してしまうので、
ますます、栄養不足に。
というわけで、避難所の食事に頼り切ってしまうと、
体内からミネラルがすごーーーーーく不足します。
そもそも、災害自体の大きなストレスは、ミネラルを消耗しますしね。
そして、タンパク質も結構不足しやすい栄養素。
安くしようとすると、どうしても肉、魚は使いにくいからですね。
不足する栄養が引き起こすこと
一番気になるのは、精神的な症状です。
ミネラルが足りなくなると、頭が正常に働きません。
イライラする
攻撃的になる
キレる
鬱
やる気が出ない
考えがまとまらない
悲観的になる
クヨクヨしやすい
落ち込みやすい
ただでさえ、被災して家を失ったり、家族や友人、知人を亡くしたり、
落ち込んだりするわけですが、回復できないんですね。
しかも、慣れない避難所の集団生活。
イライラすることも多いかもしれませんが、それに拍車がかかる。
(実際、避難所でイライラしている人はすごく多かったですよ・・・)
そして、これからなんとか自分の生活を立て直していかなくてはいけないのに、
やる気が出ない、考えがまとまらないと、
それもうまくいきません。
そして、タンパク質も不足しがち、と書きましたが、
神経伝達物質はタンパク質でです。
ミネラル不足+タンパク質不足って、本当に致命的なのです。
もちろん、カロリー以外の栄養が不足すれば、
集団感染も起きやすいですしね。
避難所でのミネラル不足、解決法!
一番のおススメは、朝のお味噌汁。
朝、温かいものを食べるとほっとしますよね。
「朝、温かいものが食べたい」という高齢者の声は、
すごく多かったのです。
でもここでは、市販のカップスープやフリーズドライの味噌汁ではありません。
用意するものは、味噌とカットわかめ、お湯です。
あと、紙コップとスプーンか箸。
お湯は、避難所にいつでも使えるように準備してあります。
げんきっこ、というミネラル不足解消のための粉があるのですが
(海藻、小魚、野菜を粉末にしたもの)
親しくさせていただいていた、「佐世保の大地といのちの会」代表の
吉田俊道先生が、
避難所で役立てて欲しいと、たくさん送ってくださったのです。
(そのときは、「だしっこ」という名前でした)
ただ配っても、なかなかうまく活用してもらえないだろう、
お味噌汁にしてとってもらおう!
ということで、そのころ食の活動を一緒にしていた仲間で、
各自休みの日を利用して、避難所周り。
このげんきっこ、お湯に溶かすと出汁スープになるので、
お湯+げんきっこ+味噌で、即席お味噌汁を作って配る。
お味噌の健康効果は言わずもがな、誰もが知っている。
それにプラスして、小魚や昆布の粉が入っているので、
ミネラル補充には抜群なのです。
避難所に入って何かを提供するには、
なかなかめんどくさい手続きが必要でして、
↑のような説明の紙を用意して避難所を回りました。
そのうち、心ある町の職員さんたちが、(ほとんどの避難所は市町村運営でした)
「これなら自分たちでできます!」ということで、
粉とお味噌、乾物(お湯に入れるだけの麩やカットわかめなど)を
支援金から買って、定期的にお渡ししたところもいくつかあります。
避難所運営は長期にわたるので、
ボランティア側も、ムリのない方法でするのも大切ですね。
大きな避難所では、「味噌の保管が、衛生的に・・・」
なんてことで断られることもありましたが、
(冷蔵庫はみんなが使うから、何があるかわからない、ということで)
小さな公民館のような避難所では、
職員さんも、高齢者がお味噌汁をすごく喜ぶことがわかっていたので、
比較的協力的なところが多かったです。
もちろん、げんきっこのような粉がなくても、
昆布の粉、いりこの粉、かつおの粉などは
どこにでも売ってあるし、
ミネラル重視!でなければ、鰹節でもすごく美味しいです。
能登も田舎なので高齢者が多いでしょうし、寒いこの時期。
もう少し落ち着いたら、
大規模な炊き出しのような支援ではなくても、
こういう支援の在り方も、喜ばれるのではないかなーと思います。
金額もそれほどかからず、数人でできますしね。
まとめ
大規模な災害が起こると、必ず増えていくのが「災害関連死」。
もともとの持病が悪化したり、
心を病んで自ら命を絶つ方もいらっしゃいます。
心にも体にも、大きな影響を与えてしまうミネラル不足。
かなり地味~な支援ではありますが、
どなたかその視点でも、活動してくれたら嬉しいな、と思います。
もちろん、避難所にいても、
近くにお店が再開したら、自分でできますしね!
もちろん、サプリを使うのも有効です。
マグネシウムを300㎎、
亜鉛を30㎎、
ビタミンB群、ビタミンC、Dあたりも、弁当生活だと必ず不足するので、
できればとっておきたいところ。
今日で地震から5日目。
まだ、安否不明者が100人ほどいらっしゃるそうです。
どうかどうか、一人でも多くの方が無事に見つかりますように。
被災された方の不安が少しでも和らぎますように。
少しばかりの募金と共に、熊本から祈っています。
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